安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題で、内閣府が文部科学省に「総理のご意向」などと伝えた文書の存在を認めた前川喜平・前文科事務次官について、民進党は25日午前の参院文教科学委員会の理事会で参考人招致を求めたが、自民党が拒否した。招致は全会一致が慣例のため、同日は見送られた。
「総理の意向」文書、担当課が提示 前文科次官が証言
特集:加計学園問題
民進の提案に、共産党、希望の会(自由、社民両党)、無所属クラブの3会派も「文部科学行政の根幹を揺るがす重大な事態で、真相究明のため招致は当然だ」と賛同した。自民は拒否の理由を「急だったためで、今後協議する」といっている。共産はその後の委員会審議で、小池晃書記局長が前川氏の証人喚問を求めた。証人喚問は参考人招致と異なり、うそをついた場合に偽証罪に問える。
民進は、前川氏が証言したことで政府が「虚偽の説明をしていたことになる」(山井和則国会対策委員長)と受け止めており、同日午後の衆院文科委理事懇談会でも前川氏の参考人招致を求める方針だ。
学部新設問題をめぐっては、内閣府から文科省に「総理のご意向」などと伝えられたとされる文書の存在が朝日新聞の取材で判明した。政府は一連の文書について「怪文書」(菅義偉官房長官)などと主張。前川氏が23日に朝日新聞の取材に応じ、文書は次官在任中の昨年秋に自らが担当課から説明を受けた際に示されたと証言した。