新たな展開を見せる加計学園問題
「首相案件」と書かれた文書が見つかり、新たな疑問が浮上した加計学園問題。発言したとされる柳瀬唯夫・元首相秘書官は当初、「記憶の限りではお会いしたことはない」とし、文書を作成した愛媛県などとの面会自体を否定しました。柳瀬氏の国会招致が10日に決まりましたが、今回なにが焦点になっているのか。そもそも加計学園問題とはなにか。いちから解説します。
昨年1月、加計学園に対して、52年ぶりに獣医学部の新設が認められました。安倍政権の成長戦略の柱の一つである「国家戦略特区」の制度を利用したものでした。
加計学園の理事長は安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が務めており、野党は「特区で総理の長年の友人が利益を受けている」と批判。一方、安倍首相は「私がもし働きかけて決めているのであれば、責任を取る」(昨年3月13日参院予算委員会)などと述べ、獣医学部新設への関与を否定しました。
そして昨年5月、加計学園の計画について「総理のご意向」と書かれた文部科学省の文書を朝日新聞が報道。文科省が特区を担当する内閣府から言われたとするもので、「官邸の最高レベルが言っている」とも書かれていました。
この文書について、菅義偉官房長官は「怪文書みたいな文書」として、信頼性を真っ向から否定しました。しかし、獣医学部新設の手続きが進んでいた当時の文部科学事務次官だった前川喜平氏は、文書の存在を認めたうえで、「行政がゆがめられた」などと証言しました。
さらに今年4月に入り、首相秘書官を務めていた柳瀬氏が、愛媛県などの職員に対して、「本件は、首相案件」と伝えていたとする愛媛県の文書の存在が明らかになりました。
一方、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」とし、食い違いが生じました。国会で柳瀬氏が面会したことを認めるかどうかが焦点になります。
また、安倍首相は、加計学園の獣医学部新設を初めて知ったのは、昨年1月20日だったと国会で答弁しています。しかし、愛媛県の文書では、柳瀬氏が「首相案件」と言ったとされるのは2015年4月で、安倍首相が知ったとする時期よりも1年9カ月早い時期です。この点について、安倍首相の答弁の整合性も問われることになります。