パレスチナ自治区ガザで、イスラエル米大使館のエルサレム移転などに抗議するデモ隊とイスラエル軍が衝突し多数が死傷した問題で、国連安全保障理事会は1日、イスラエル軍の攻撃を批判し、市民保護を求める決議案を採決した。15理事国のうち10カ国が賛成したが、常任理事国の米国の拒否権で否決された。
ガザのパレスチナ人保護、クウェートが決議案 安保理
決議案を提出したクウェートをはじめ、仏中ロ、コートジボワール、ペルーなど10カ国が賛成。英国、オランダ、ポーランド、エチオピアの4カ国が棄権し、反対は米国1カ国だった。
決議案は、イスラエル軍の実力行使を「過度で(相手に対し)不均衡で、無差別」と批判し、控えるよう求めた。一方、ガザからイスラエルの民間人居住区へのロケット弾発射にも遺憾の意を示していた。
アラブ諸国を代表する非常任理事国クウェートが2週間ほど安保理で調整したが、米国との協議は頓挫。米国側が前日に、「拒否権を使う」と異例の宣言までしていた。
ヘイリー米国連大使は1日の会合で、決議案を「甚だしく偏っている」と批判。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスを「テロ組織」と呼び、イスラエルに無差別にロケット弾を撃ち込んだと非難。「ガザの惨状の主な責任があるのに、決議案はハマスに言及がない」と拒否した理由を説明した。
米国はハマスを非難する対抗案を出したが、同調する国はなく、賛成は米国だけ。ロシアとクウェート、ボリビアの3カ国が反対、11カ国が棄権し、否決された。米国の孤立ぶりが際立つ会合となった。(ニューヨーク=金成隆一)