オスロ合意とその後の歴史
パレスチナ自治政府のアッバス議長は4月29日、朝日新聞の質問に書面で回答し、エルサレムをイスラエルの首都と認め、同地への大使館移転を決めたトランプ米大統領が仲介する中東和平案はいっさい拒否すると断言した。ただし、イスラエルとの中東和平の道筋を定めた1993年のオスロ合意には「今も関与している」とし、米国以外の働きかけに期待するとした。
アッバス氏が回答を寄せた29日、初外遊で中東歴訪中のポンペオ米国務長官はイスラエル入り。商都テルアビブでネタニヤフ首相と会談した。共同会見でネタニヤフ氏が「大使館移転を祝う米代表団を歓迎する」と謝意を示すと、ポンペオ氏は「イスラエル建国70年に合わせ、5月14日に新しい大使館を開くことを大変誇りに思う」と応じた。
トランプ氏の首都宣言による関係悪化で、米国とパレスチナ自治政府の高官協議は昨年末から途絶えている。米国は今年1月、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金の半分以上を凍結し、パレスチナへの圧力を強化した。
UNRWAはパレスチナ難民に対し、教育や医療の機会を提供し、食料配布を支援する組織。米国は拠出金全体の3割を負担する最大支援国で、凍結はパレスチナにとっては大打撃だ。
だが、アッバス氏は「米国の脅…