「総理のご意向」などを伝えられたと記された文書の存在を、前川喜平・前文部科学事務次官が認める証言をしたことについて、松野博一文科相は25日の参議院文教科学委員会で、「すでに辞職された方の発言であり、文科省としてコメントする立場にない」と述べた。
「総理の意向」文書、担当課が提示 前文科次官が証言
特集:加計学園問題
一連の文書について、松野氏は19日に「存在は確認できなかった」とする調査結果を発表。一方、前川氏は朝日新聞の取材に対し、文書は「自らが担当課から説明を受けた際に示された」と話している。
文科委で、民進党の斎藤嘉隆氏が再調査の必要性をただしたのに対し、文科省の義本博司総括審議官は「共有フォルダー(の調査)や職員7人へのヒアリングの結果、行政文書として存在を確認できなかった」と従来の説明を繰り返した。松野氏も「通常、個人のメモや備忘録などを調査することはない。今回は総合的な判断でヒアリングをして、作成や共有は確認できなかった」と述べた。内閣府の担当者は文書について「文科省の調査で(文書は)確認できなかった。お答えする立場にない」などとした。
このほか、「行政がゆがめられた」との前川氏の証言について、自由党の木戸口英司氏の質問を受けた松野氏は、「行政がゆがめられたということはない」と述べた。
また文科委では、共産党の小池晃氏が、文科省が学校法人「加計学園」の獣医学部新設についての懸念を学園側に伝えたとされる別の文書を取り上げた。
小池氏によると、学園側に伝えられたとされるのは、国家戦略特区諮問会議が獣医学部の新設を認める直前だといい、小池氏は「加計ありきで、加計に決まるということを前提とするような伝達事項を伝えていたということになる」と指摘した。