介護保険サービスで、現役世代並みの所得がある人の自己負担割合を3割に上げる介護保険法などの改正案が25日、参院厚生労働委員会で自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。26日の参院本会議で成立する見通し。高齢化で急増する介護費を抑える狙いで、今後も比較的お金に余裕がある人を中心に負担が増える可能性がある。
介護とわたしたち
わがまちの介護保険料
介護保険サービスの利用料の自己負担は、原則1割だ。2015年8月からは、単身世帯なら年金などの所得が年280万円以上など「一定の所得のある人」は2割になった。3割負担となるのは、単身世帯なら年金などの所得が年340万円以上などの「現役世代並みの所得の人」で、来年8月から引き上げられる。
対象は利用者の3%の約12万人と見込まれる。毎月の負担額には上限(単身で年収383万円以上の人は4万4400円)があり、サービスの利用が多い人は負担が増えない場合がある。これらの制度変更で厚労省は、年100億円ほどの介護費の抑制効果があるとみる。
今回の改正で、40~64歳の現役世代で収入が多い人の介護保険料負担も増す。原則、職場の医療保険運営者を通じて納めている。運営者ごとの負担は加入者数に応じて決めているが、これが加入者の収入の総額に応じて決める方式になる。
大企業の会社員や公務員らを中心に約1300万人の負担が増え、中小企業の会社員ら約1700万人は負担が減る見通しだ。見直しは今年8月から4段階で実施。全面実施となる20年4月から、負担増となる人の保険料は今より平均月700円以上(事業者負担分を含む)増える。これで国費を年約1600億円抑えられると、厚労省はみている。
介護保険の費用は制度が始まった00年度の3兆6千億円から膨らみ続け、今は10兆円を超す。団塊の世代が75歳以上となる25年度には約20兆円に倍増するとの試算もある。すでに負担増だけでなく、特別養護老人ホームへの新規入居を原則「要介護3」以上に限るといったサービスの絞り込みも始まっている。(松川希実)