核兵器の使用などを法的に禁じる「核兵器禁止条約」の制定に向けた国連の交渉会議をめぐり、松井一実・広島市長と田上富久・長崎市長が7日、外務省で岸田文雄外相と面会し、同会議に参加するよう求める要請文を渡した。
政府は会議への不参加を表明しており、被爆地・広島選出の岸田氏の対応に地元からは不満の声があがっていた。
松井氏によると、岸田氏は「出席しない方針は変わらない」と述べたうえで「核兵器のない世界という理想は分かっている。(理想を)実現するための現実的な対応をしている」と理解を求めたという。
面会後、松井氏は「現実的な対応とは、自分たちの思いから遠い」と指摘。「核兵器禁止条約は成立するだろう。次のステージをにらみ、我々の思いが届くような対応を考えてほしい」と話した。田上氏は「核兵器のない世界への流れをリードするチャンスを失う。条約成立後にいかにリーダーシップを取っていくか積極的な取り組みを求めたい」と注文をつけた。
交渉会議は3月末に前半の会議があり、日本は初日に高見沢将林軍縮大使が「核兵器国の関与が得られず建設的かつ誠実な参加は困難」と演説して不参加を表明。後半の会議は今月15日から米ニューヨークの国連本部で始まる。