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「共謀罪」表現、文化にとっては致命的 小澤俊夫さん

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小澤俊夫さん


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「共謀罪」の趣旨を盛りこんだ組織的犯罪処罰法改正案が国会で議論されている。政府は「テロ対策に必要」との立場だが、捜査当局による乱用や「表現の自由」などの侵害を危惧する声もある。


特集:「共謀罪」


市民が治安維持法におびえた戦前や戦中を知る文学者の小澤俊夫さん(87)は、言論統制が学問に与える悪影響に警鐘を鳴らす。


《「空気を読む」日本人と「共謀罪」が合わさると、とても怖い。》


小学生だったころ中国にいた。当時は日中戦争の最中。小学校の同級生たちと陸軍病院を慰問すると、兵隊さんが喜んで「行軍中、道沿いの女子どもはスパイだから皆殺しだ」「捕虜を機銃掃射した」と手柄話をする。子供心に「人殺しじゃないか」と思ったけど、とても口に出せない。戦争に否定的なことを言おうものなら、どんな目に遭うか分からない。「治安維持法は恐ろしい」と染みついていた。


ところが、北京で評論雑誌を出していた父・小沢開作は「日本は中国民衆を敵に回した。戦争には勝てない」と明言して軍部を激しく批判するものだから、思想憲兵がいつも家で見張っていた。私は憲兵に指示された父の言いつけで、雑誌の墨塗りを手伝わされましたよ。


帰国後も、婦人会が竹やり訓練でB29に対抗しようとするのを「馬鹿か」と笑って、所轄の特高課長が毎日家で監視。それでもなぜか無事だった。いつか捕まると覚悟はしていたんだけど。戦後、父の訃報(ふほう)を新聞で読んだ特高課長から「真の愛国者だと確信していました」と手紙がきた。捕まらなかったのは奇跡的だった。この人が、上に父のことを報告せずにいてくれたのだろう。


「共謀罪」が怖いのは、何が犯…



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