世界最大のサンゴ礁で有名なオーストラリアの世界自然遺産グレートバリアリーフで、サンゴの死につながる「白化現象」が昨年から2年連続で起き、日本の国土の3分の2近い規模に広がっている。地球温暖化による海水温上昇が主因とみられる。米国が温暖化対策の「パリ協定」離脱を決め、いっそう危機感が広がる。
豪北東部ケアンズから北東に約30キロ、小型の遊漁船に1時間半ほど揺られると、波が穏やかになった。海に入り、海中をのぞくと、魚たちが泳ぐ海底に白く変色したサンゴが点在していた。
「予想通り、ここでも白化が確認できました」。同行した海洋環境調査会社リーフ・エコロジックのナタン・クックさん(44)が説明した。ここ、ミコマスケイ礁は、今年に入って白化が広がったグレートバリアリーフの中部海域にある。
白化は、サンゴに共生する「褐虫藻」という生物が、海水温の上昇などのストレスによって離れてしまい、サンゴが白色に変化する現象。褐虫藻がつくる栄養分をもらえなくなったサンゴは、南半球が冬となる7、8月ごろまでに褐虫藻が戻ってこなければ死に絶えてしまう。
クックさんが、緑がかったサン…