デニス・ブレア元米太平洋軍司令官
憲法を改正して9条に自衛隊を明記しようという安倍晋三首相の考えに対し、デニス・ブレア元米太平洋軍司令官が「もっと必要なことがある」と提言した。文民統制強化と陸自縮小の必要性を訴えたうえで、日本人はそうした自衛隊を持てば改憲しても軍国主義復活につながらないと「自信を深める」と指摘。改憲を急ぐ首相に「急がば回れ」ともとれる指南だ。
日米同盟に深く関わる米太平洋軍の幹部OBが憲法論に踏み込むのは異例だ。ブレア氏はオバマ政権で国家情報長官にも就いていた。今回の提言は、会長を務める笹川平和財団米国のHPに5月下旬に掲載。安倍首相とは同財団のシンポジウムで対談するなど交流もある。
提言では首相の改憲論をふまえ、「実際、日本は9条の戦力不保持宣言にも関わらず、自衛隊を維持してきた」と「法的なねじれ」を指摘。その一方で「自衛隊が適切な役割を果たすためには、政治がひるむ戦後憲法の改正は手段の一つに過ぎない」と強調した。
安倍政権での「国家安全保障会議の創設、国家安全保障戦略の発表、憲法解釈変更で集団的自衛権の行使を認めた立法(安保法制)は重要なステップ」としつつ、「さらに二つの行動を取るべきだ」と主張している。
まず、自衛隊の文民統制につい…