バルテュス「白馬の上の女性曲馬師」(愛知県美術館提供)
「20世紀最後の巨匠」と言われるフランス出身の画家バルテュス(1908~2001)の作品「白馬の上の女性曲馬師(きょくばし)」が個人から寄贈されたと、愛知県美術館(名古屋市東区)が15日発表した。「クリムト、ピカソに並ぶ目玉のコレクションになる」という。7月1日に始まるコレクション展で初公開される。
愛知県美術館によると、「白馬の上の女性曲馬師」は名古屋市の個人が6億円で購入し寄贈。評価額も同額で、所蔵作品のうち、クリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」(17億7千万円)、ピカソの「青い肩かけの女」(14億円)に次いで3番目。バルテュス作品は国内の公立美術館では「調べた限り所蔵例がない」といい、国内で鑑賞できる貴重な機会となる。
バルテュスの充実期である1941年の作品(45年加筆)。短いスカートを着て白馬に乗る曲馬師の少女を描いているものの、静かな雰囲気で、薄暗い背景は室内か屋外かよくわからない不思議な絵画だ。副田一穂学芸員は「夢の中のような作品。どんなシーンなのか、見に来てそれぞれ想像してほしい」と話している。(千葉恵理子)