東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)に設置した免震重要棟の耐震性不足を把握しながら原子力規制委員会に伝えていなかった問題で、東電は16日、規制委から求められていた審査書類の総点検結果を反映させた補正書を規制委に提出した。広瀬直己社長が自ら確認した内容で、不備があれば今後の審査は暗礁に乗り上げかねない。
東電社長、新潟県知事に陳謝 免震重要棟の耐震不足問題
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この日、規制委を訪れた姉川尚史常務は「慎重に検討を重ねてきた。より安全性を高める変更をする可能性はあるが、現時点でベストのものだ」と述べた。
東電は柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた審査を2013年に申請。審査が続いてきたが、終盤を迎えた昨年以降、建屋の耐震設計方針や防潮堤の液状化対策、重大事故時の対策拠点から免震棟を撤回するといった大きな方針変更が相次いだ。規制委は2月に広瀬社長を呼び、経営トップが責任を持って申請内容を総点検し、再提出するよう求めていた。
規制委は今後、補正書の内容を確認するほか、今月就任する小早川智明新社長からも安全に対する姿勢をただす方針だ。免震棟の撤回後は、地元柏崎市の桜井雅浩市長が1~5号機の廃炉を求めるなど東電への不信感が高まっており、審査が進んでも、再稼働への地元同意が得られるか先行きは見通せなくなっている。