欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合は15日、ギリシャに85億ユーロ(約1兆500億円)の追加融資をすることで合意した。7月に72億ユーロの国債の償還期限を迎えるギリシャは返済のめどが立ち、財政危機を免れた。ただ、ギリシャが期待する債務の負担軽減策は持ち越され、長年懸案になっている財政健全化の道筋は依然として見えていない。
ユーロ圏各国はギリシャに対し2015年8月、3年間で最大860億ユーロの支援を決めたが、昨年10月を最後に融資を見送っていた。ユーロ圏側は再開の条件として、社会保障費の削減など身を切る改革で、財政収支を出来るだけ改善させるよう要求。一部の国は、今のギリシャ支援の枠組みへの国際通貨基金(IMF)の参加を求めていた。
これに対し、ギリシャは、年金のカットや個人所得税の課税対象の拡大などを受け入れることで、ユーロ圏側と合意していた。
この日の会議に参加したIMFのラガルド専務理事は、こうしたギリシャの方針を評価。IMFが求める抜本的な債務の負担軽減についても、ユーロ圏側が前向きな姿勢を示したとして、支援の枠組みに参加することを決めた。ただ、実際の支援は、負担軽減策の実施の確約が取れた後としている。
隠していた巨額の財政赤字が09年に発覚したことを機に始まったギリシャの財政危機は、多額の借金の返済期限が来るたびに表面化。その度に緊縮財政の実施などと引き換えに融資を受けてきたが今も、解決に至っていない。(ロンドン=寺西和男、ブリュッセル=津阪直樹)