川崎市は16日、公園など公的施設でのヘイトスピーチを事前に規制するガイドライン案を明らかにした。憲法が保障する表現の自由に配慮し、ほかの利用者の迷惑になることが明白な場合に限り、施設利用の不許可や許可取り消しができる内容。市民の意見を募った上で11月に策定し、来年3月に施行する。ヘイトスピーチを事前に規制する全国初の指針となる見通しだ。
市の案では、ヘイトスピーチが行われる恐れが「客観的な事実に照らして具体的に認められる場合」に規制を限定。公的施設の利用申請者に、ヘイトスピーチをしないよう警告▽しないことを条件に許可▽利用不許可▽利用許可の取り消し――の4種類の対応をとれるとした。
公的施設の利用を巡っては、過去に争われた裁判で、「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合」に不許可を認めた最高裁の判例がある。川崎市はこれを念頭に、弁護士ら専門家の意見を聴いたうえで、個別に規制するかどうか判断するという。
在日コリアンが多く暮らす川崎市ではヘイトスピーチが繰り返し行われてきた。ヘイトスピーチに反対する活動の先頭に立ってきた川崎市内の在日コリアン、崔江以子(チェカンイジャ)さん(44)は「ガイドラインはヘイトスピーチの抑止になる。大変心強く思う」と話した。(河井健)