ヘイトスピーチで、法務省が示した例と、昨年以降の動き
外国人への不当な差別的言動は「許されない」と定めた「ヘイトスピーチ対策法」は、6月3日に施行から1年を迎える。どんな言動がヘイトスピーチにあたるのか。デモや集会、ネット上のヘイトスピーチにどう対処するのか。各地の自治体の取り組みが本格化し始めている一方で、課題もなお多い。
在日コリアンが多く暮らす川崎市。法律が制定された直後の昨年5月末には、排外主義的なデモを繰り返してきた団体に、福田紀彦市長が公園の使用不許可を決定。横浜地裁川崎支部も6月初め、在日コリアンが理事長の社会福祉法人周辺でのデモを禁じる仮処分決定を出し、法律を踏まえた動きとして注目された。
あれから1年。ヘイトスピーチに反対する活動の先頭に立ってきた市内の在日コリアン3世、崔江以子(チェカンイジャ)さん(43)は「野放しだったヘイトスピーチが、しにくい社会になってきた。自治体が私たちの人権侵害を防ぐルールづくりを進めていることは心強い」と語る。
有識者らでつくる川崎市人権施策推進協議会は、市から要請を受けて規制のあり方を検討。①公園や市の施設でのヘイトスピーチを事前規制するガイドライン策定②ネット上のヘイトスピーチの積極的な削除要請③人権全般を見すえた条例の検討――が必要との報告書を昨年末にまとめた。
これを踏まえて市は今年4月、ガイドラインの素案を公表。ヘイトスピーチの恐れがあれば、例外的に公的施設の使用不許可や許可取り消しができる内容だ。今秋にも全国初のガイドラインを決める方針だ。
かぎになるのは、憲法の「表現…