仮設住宅の人たちを訪ねた天皇、皇后両陛下=2012年7月、長野県栄村、朝日新聞社撮影
■てんでんこ:皇室と震災19
2011年3月12日未明、長野県栄村が震度6強の揺れに襲われた。長野県北部地震だ。住宅約200棟が全半壊する甚大な被害が出たが、東日本大震災の翌日だったために注目されずにいた。この「忘れられた被災地」を気にかけ、一日も早い現地訪問を望んだのが、天皇、皇后両陛下だった。
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「(東日本)大震災の翌日である3月12日には、長野県栄村でもほぼ東北と同規模の地震があり」(同年10月、皇后さまの誕生日にあたっての文書回答)、「更に後日この地震に誘発された地震が長野県の栄村を始めとして各地で起こり、犠牲者が出たところもありました」(同年12月、天皇陛下の誕生日にあたっての宮内記者会に寄せた文書)
自身の誕生日の節目に、両陛下はそれぞれ栄村の名前を挙げた。当時村長だった島田(しまだ)茂樹(しげき)さん(76)は「両陛下は忘れないでいてくださった。何よりありがたいことで、目頭が熱くなりました」と振り返る。実際、両陛下は発生した年内に見舞いたい意向を示し、12月に栄村を訪問する準備が進められた。
しかし、天皇陛下は11月初旬に発熱し、気管支炎で入院。国賓の歓迎行事を即位以来初めて欠席するなど体調不良が長引き、早い段階で栄村行きの延期が発表された。
宮内庁から栄村への連絡は途絶…
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