不当な人事評価で賞与を減額されたとして、三菱地所グループのマンション管理会社(東京)に勤める30代の女性社員が、約190万円の損害賠償を同社に求めた訴訟の判決で、東京地裁(合田章子裁判官)は21日、人事権の乱用を認め、減額分と慰謝料など約70万円の支払いを同社に命じた。
判決によると、女性は約10年前に入社。年2回の人事評価で2009~12年の点数は18点~マイナス7点だったが、13年上半期はマイナス175点に。個人情報が記されたアンケートを裁断せず処理したことなど57件の問題行為が理由で、13年冬の賞与は前年比93%減の約2万5千円だった。
判決は「低評価はやむを得ないが、賞与を93%も減らすほど重大な問題行為はない」と指摘。13年だけ突出して問題行為を挙げ、大幅減点したのは「恣意(しい)的で不合理だ」と判断した。
女性の代理人の上野尚文弁護士は「人事評価は会社の裁量が大きいが、あまりに恣意的な評価は許されないことが示された」と評価。同社は取材に「現時点でコメントは差し控える」としている。(千葉雄高)