リー一族の関係
シンガポールの「建国の父」、故リー・クアンユー元首相の長男リー・シェンロン首相と弟妹の亀裂が表面化している。首相を批判する声明を弟妹が突然発表。同国の名門一家の確執の背景には、首相の引退後を見据えた駆け引きがあるとの見方もある。
リー一家は、シェンロン氏が2004年から首相で、妻がシンガポール航空や電力会社を傘下に収める政府系投資会社の最高経営責任者(CEO)。首相の弟のシェンヤン氏は国内最大手通信企業のCEOなどを歴任し、民間航空庁のトップに就任。妹のウェイリン氏は医師・研究者であるなど、同国の政財界に大きな影響力を与えてきた。
一族の対立は、シェンヤン氏とウェイリン氏が14日、フェイスブックで「政府の立場と影響力を個人的な目的のために悪用している」と首相を批判する声明を出し、表面化した。
批判の直接の理由は、2年前に亡くなった元首相の自宅の扱いをめぐる意見対立だ。声明によると、個人崇拝を嫌った元首相の「取り壊してほしい」との遺言を守りたい2人に対し、首相は保存する考えで、遺産の政治利用だと非難する。
ただ、声明は「権力の乱用を防…