ロバート・ガルーチ元国務次官補
北朝鮮政府高官が昨秋に協議した米政府元高官らに対し、核・ミサイル問題の協議について「中国を関与させない」ことを求めていたことがわかった。その上で、北朝鮮側から「米新政権と直接交渉がしたい」との伝言を受け取り、国務省を通じてトランプ政権側に伝えられたという。
昨年10月にクアラルンプールで北朝鮮の韓成烈(ハンソンリョル)外務次官らと協議したガルーチ元国務次官補と米社会科学研究評議会のシーガル氏が朝日新聞の取材に明らかにした。
金正恩(キムジョンウン)政権が、北朝鮮にとって「血で固められた同盟」と呼ばれる中国に不信感を持っていることが浮き彫りになった。また、中国が議長国を務める6者協議などの枠組みではなく、米国との直接対話を重視していることも裏付けられた。
ガルーチ氏らによると、協議で北朝鮮側は、金正恩・朝鮮労働党委員長が「中国に頼って問題を解決しようとする米国の姿勢にいらだっている」と指摘。北朝鮮の対外貿易の約9割を占める中国の影響力を使って問題を解決する米政府のやり方を批判したという。中国が米国の要求を受けて、石油の禁輸や北朝鮮産石炭の輸入を制限することなどを嫌った可能性がある。
その上で北朝鮮側は「中国を介さず米国と直接取り組みたい」と要求したという。シーガル氏は「北朝鮮側は、中国への依存を下げるために対米関係を改善したがっているようだ」と話す。シーガル氏は、現在も北朝鮮は同様の考えを持っているとみている。
ただ、当時のオバマ政権との対…