訪問団を乗せ、出港した北方四島交流船「えとぴりか」=27日午前、北海道根室市、白井伸洋撮影
北方四島での「共同経済活動」を進めるための官民合同調査団が27日午前、北海道根室市を船で出発した。7月1日までの間、国後、択捉、色丹の3島をめぐる。「漁業と水産加工」「エネルギーとインフラ」「観光、小売り、医療」の3グループが事業化の方策を探る。
訪問団は長谷川栄一首相補佐官が団長で、関係省庁と自治体関係者、漁業、養殖、観光、医療など32の企業・団体の計69人が参加。参加予定だった長谷川俊輔・根室市長は参加できなかった。地元関係者によると、ロシア側に受け入れを拒否されたという。根室市長は、北方四島に隣接する自治体で構成する協議会の会長を務めている。
訪問団は北方四島交流船「えとぴりか」を移動に使い、国後島沖で入域手続きを行う。現地では、サハリン州知事などロシア側の関係者との協議も予定されている。長谷川団長は根室港で、記者団に対し「平和条約の締結につながるという前提で行ってくる」と語った。
共同経済活動は日ロが北方四島で合弁事業などを進め、領土問題の進展を図ることを目的にしている。4月の日ロ首脳会談で調査団の北方四島派遣を合意し、5月末には、調査団がロシア・サハリン州で関係者と協議した。(小野甲太郎、ウラジオストク=中川仁樹)