調査で使われたアンケート用紙。労働時間の過少申告や取得できなかった休憩時間の有無など、6項目について尋ねている
「クロネコヤマトの宅急便」で知られるヤマトホールディングス(HD)が、全社的なサービス残業の実態調査を始めて3カ月以上が過ぎた。だが、いまだに未払い残業代の支給時期や支給額の説明を受けていない社員が少なくない。「本気で支払う気があるのか。確信が持てない」「現場への説明はいつも後回しだ」――。ドライバーの間に会社への不信感が広がっている。
ヤマト残業代未払い、新たに1.2万人 40億円支給へ
「未払い残業代」に質問相次ぐ ヤマトHDが株主総会
「申請した通りに未払い残業代が支払われるのか不安だ。まだ支給額すら伝えられていないのに、会社は総額が見通せたと言えるものなのか」。ヤマト運輸で「宅急便」の配達を担う北日本の30代の男性セールスドライバー(SD)はいらだちを隠さない。
ヤマトの宅配現場では、インターネット通販の普及による荷物量の急増や人手不足で長時間労働が常態化。労働環境を改善しようと、親会社ヤマトホールディングス(HD)が2月以降にサービス残業の実態調査を全社的に始めた。4月中旬には記者会見を開き、「大勢は見えてきた」(大谷友樹上席執行役員)として、約4万7千人の社員に計約190億円の未払い残業代を払うと発表した。
だが、21日に対象者が約5万9千人、総額は約230億円に増えると修正。これで実態調査に区切りがついたとして、社員ごとの支給額を確定させた上で7月から順次支払う予定も示したが、いまだに支給時期や支給額の説明を受けていない社員が少なくない。
男性の勤め先の管内で調査が始まったのは3月初め。出退勤記録を元に過去2年分の未払い分の残業時間を調べ、支店長との面談で申請したが、申請が認められたのかも分からない。
21日の発表後も、会社から具体的な説明はなかった。「現場への説明はいつも後回し。会社は本気できちんと支払う気があるのか。まだ確信が持てない」
別の管内の営業所で働くSDの男性は、調査の進め方に不信感を抱いている。
「たばこを吸うよね。その分を…