来年11月に運転開始から40年を迎える日本原子力発電東海第二原発(茨城県)の審査が、運転延長認可の期限までに終わらない可能性が出てきた。原電が防潮堤の設計を大きく変更し、審査が長期化する懸念が出てきたためで、時間切れになると東海第二は廃炉になる。原子力規制委員会の更田豊志委員長代理は29日の審査会合で、「原電が主張を変えないのなら判断を伝える」と、審査の打ち切りも示唆した。
東海第二は1978年に運転を始めた老朽原発で、来年11月に原発の運転期間である原則40年の期限を迎える。運転は最大20年の延長が可能だが、認められるには新規制基準に基づく安全対策の基本方針の許可と設備の詳しい設計の認可、運転延長認可の三つの許認可を期限までに受ける必要がある。現在はまだ一つ目の安全対策を審査している段階だ。
ところが、原電は今年4月になって、約2キロにわたって建設する防潮堤の設計を大幅に変更。「調査の結果、地盤は液状化しないことが分かった」として、地盤の改良工事をしない方針を明らかにした。
原電の村松衛社長は「29日の審査会合で万全を期して説明する」との意向を規制委に示していた。だが、原電は29日も十分な調査データを示すことができず、規制委は納得しなかった。
規制委の幹部は「運転延長の認可の期限まで1年5カ月しかない。原電が液状化対策をしない方針にこだわり続けるなら、間に合わない」と話した。(石塚広志、東山正宜)