首脳会談前に記念撮影に応じる(右から)安倍晋三首相、トランプ米大統領、文在寅韓国大統領=6日午後7時35分、独ハンブルクの米国総領事館、飯塚晋一撮影
欧州訪問中の安倍晋三首相は6日夜(日本時間7日未明)、ドイツ・ハンブルクで米国のトランプ大統領、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と会談した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したばかりの北朝鮮に対し、3カ国で緊密に連携して圧力をかけることで一致した。
日米韓首脳会談は、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれるのに合わせて実現した。5月に就任した文氏と安倍首相が直接会談するのは初めて。日本政府の説明によると、会談は約75分間で、弾道ミサイル発射など軍事的挑発を繰り返す北朝鮮問題だけを話し合った。
安倍首相は冒頭、「国際社会の最優先事項は北朝鮮問題だ。我々3人が一堂に会することは重要な意義があり、日米韓で北朝鮮の核の放棄に向けた戦略を共有するうえで歴史的な機会だ」と語った。そのうえで、北朝鮮が今月4日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる発射実験を強行したことに触れ、「北朝鮮には真剣に対話する意思などないことを示すものだ。国際社会による北朝鮮への圧力を一段引き上げる必要がある」と強調。「対話を行うためには非核化に向けた北朝鮮の真剣な意思と具体的な行動が必要だ」と訴えた。
北朝鮮の核開発については、日米は核放棄を対話の前提としているが、文氏は凍結すれば対話に応じるという融和路線を示しており、安倍首相の発言は文氏を牽制(けんせい)する狙いもあったとみられる。
トランプ政権は6月29日、北朝鮮の挑発行為を抑え込む中国の取り組みが不十分だとみて、北朝鮮の核開発を支援した中国の銀行に初めて金融制裁を科した。これについて今回の会談では「日韓も米国と連携していく」ことを確認し、北朝鮮に影響力のある中国がより役割を果たすよう働きかけることでも一致した。(ハンブルク=久木良太、松井望美)