九州北部の豪雨災害で、避難生活によってエコノミークラス症候群(肺塞栓(そくせん)症など)が発生する恐れがあるとして、日本循環器学会などは9日、「足を動かす」「水分を十分にとる」などの予防策をとるよう呼びかける声明を出した。
エコノミークラス症候群は、足の血管内にできた血のかたまりが流れて肺の血管につまって起こる。胸の痛みや息苦しさを感じ、死亡することもある。足を動かさないことや脱水、足のけががあると発症しやすくなり、車中泊や避難所など避難生活で起こりやすい。
声明では予防策として、まず足首を曲げ伸ばししたり、散歩をしたりして、足の血行を促進するよう推奨。水分も意識して取り、血が固まりづらくするよう勧めている。
現地の避難所の環境を調べている九州大大学院の赤星朋比古准教授(災害救急)によると、寝返りしづらい畳や薄いマットの上での生活となっている高齢者らも多いとして、「エコノミークラス症候群や熱中症にならないよう、こまめに水を飲むなどの対策をしてほしい」と話す。
昨年4月の熊本地震では発災2カ月で50人以上が重症化した。予防効果があるとされる「弾性ストッキング」が熊本市の病院に備蓄されており、福岡や大分の被災地に送る計画もあるという。 (竹野内崇宏)