60階で扉が開くと、展望台の大パノラマが目の前に広がる=大阪市阿倍野区、魚眼レンズ使用
せっかく高さ日本一のビルなのに、「あべのハルカス」の展望台行きエレベーターでは、景色が一切見えないそうです。眺望を生かさない手はないと思いますが、それにはきちんとした狙いがありました。搭乗時間、約50秒。一体、どんな仕掛けがあるのでしょう。
時間をめぐる物語「時紀行」
■時紀行:ハルカス展望台までの50秒
高さ300メートルもある日本一のビルなのに、展望台行きエレベーターから絶景は拝めない。あべのハルカスでは、あえて、そんな構造にしているらしい。東京タワーなども眺望をいかしたつくりをしているのに。なぜなのか?
16階の入場ゲートから乗り込んだ。定員31人、最高分速360メートル。室内は照明を抑え、薄暗い。
ガラス張りの室内から外壁に目をやる。はじめに、飛行機の滑走路を思わせる太い点線の光が両脇に見える。すぐに流星群のような青と白の細長い光、粉雪のような光のシャワーが続く。最後には再び滑走路のような点線の光が示される。手の込んだ幻想的な演出に見とれているうち、あっという間に展望台までたどり着いていた。
その間、約50秒。
ドアが開いた瞬間、「景色を見せない」理由がすぐにわかった。