原子力規制委員会に対し意見を述べる東京電力の小早川智明社長(左)と川村隆会長=東京都港区
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた審査をめぐり、原子力規制委員会は10日、東電の新経営陣に原発の安全に対する姿勢を確認する臨時会合を開いた。規制委は「福島第一原発の廃炉を主体的にやりきる覚悟と実績が示せない事業者に、柏崎刈羽を運転する資格はない」などとする再稼働の要件を提示。田中俊一委員長は「東電は福島県民と向き合っていない」などと批判した。
現在、柏崎刈羽の審査は大詰めを迎えている。規制委は、この日、いずれも先月就任した川村隆会長と小早川智明社長らを呼び、直接考えを聞いた。小早川社長は「福島の責任を全うすることが最優先課題だ」と語った。
一方、福島第一原発で増え続ける汚染水や取り出した核燃料などの処理方法が決まらないことについて、小早川社長が「国の検討を注視している」と判断を保留すると、田中委員長は「廃炉の責任は東電にあるのに主体性が見えない。危機感を持っている」などと批判した。
そのうえで、規制委は柏崎刈羽の再稼働について、「不確実・未確定な段階でも、リスクに対する取り組みをしなくてはならない」「新規制基準は最低限の要求でしかなく、さらなる安全性の向上に取り組まなければならない」など7項目の要件を提示。これに対して文書で回答するよう求め、回答に納得できない限り、柏崎刈羽の審査は終えられないとの認識を示した。今後も新経営陣から聴取を続ける方針だ。