体験会で参加者とともにビーチマットの感触を確かめる木戸俊介さん(右)=5月28日、神戸市須磨区
神戸市須磨区の須磨海岸にこの夏、車いす利用者が波打ち際まで行くための「通路」が登場する。足が不自由でも砂浜に出て海を楽しめるようにと、車いす生活を送る男性がインターネットで資金提供を呼びかけ、共感の輪が広がった。
企画したのは神戸市北区の木戸俊介さん(31)。2015年4月、帰宅途中に交通事故に遭い、下半身が不自由になった。退院後、家族旅行で行った静岡・熱海。弟2人に車いすを担いでもらい、波打ち際に近づいた。その際、「海は遠くから眺めるものなんだ」と思ったという。
しかし、翌年、リハビリで訪れたオーストラリアの海岸には、車いす利用者が通路として使えるビーチマットが敷かれていた。車輪が砂に埋まる心配がない。「自分の中で諦めていたハードルを乗り越えることができた。達成感に感動した」
子どもの頃から親しんだ須磨海岸にも「マットがあれば」。海の家の店主やライフセーバーらに声をかけ、導入へ向けて「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」を作った。
ベニヤ板などでも試したが、防水性や収納性に優れ、簡単に設置できるマットに勝るものはなかった。米国から輸入することにし、必要経費130万円を集めるため、3月下旬からインターネットで資金を募るクラウドファンディングを始めた。
当初は難航したが、4月下旬、地元の漁師や飲食店主、海岸の清掃活動をするボランティア団体のメンバーらを集めて開いた交流会で木戸さんらが直接熱意を伝えると、口コミで計画が広まった。5月中旬、目標額を達成した。
マットはポリエステル繊維製で…