阪神の上本。11日の中日戦では、今季初の4安打を放った
(11日、阪神10―1中日)
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2球続けてファウルにした内角速球。3度目は細身の体をくるっと回転させ、芯でとらえた。同点の三回1死、阪神の上本が、左越えに勝ち越しのソロ本塁打。「塁に出ようと思って、来た球に食らいついたら、たまたまホームランになりました」と謙遜した。
これだけで終わらない。四回は2死一、二塁で「外の球にうまくバットを出せた」と右前適時打。五回は10得点目となる左中間適時二塁打を放った。一回の左前安打を含め、今季初めての1試合4安打だ。
31歳。2014~16年は選手会長を務めた。本来ならばチームを引っ張るべきだが、昨年は3年間で最も少ない45試合の出場にとどまった。「それでも色んな人の支えや気を使ってもらった」と振り返る。
上本の振る舞いを見ると、自分のことはどうでもいいと思っているように感じる。広島・広陵高でも、早大でも主将を任され、高校時代はチームの事情で捕手に挑戦した。今は無死二塁から自由に「打て」のサインが出ても、最低でも走者を三塁に進めるために、右方向を狙う。
この夜託された仕事は、走者がいなければ出塁し、いれば生還させること。どちらも果たした。中でも三回の一発は、中日のジョーダンを攻略するために必要な「内に入ってくる球を、どう打つか」(片岡打撃コーチ)を実践したものでもある。心機一転、背番号を「4」から「00」に変えて臨んでいるシーズン。今やチームに欠かせない2番打者だ。(井上翔太)
○メッセンジャー(神) 約1カ月ぶりの白星。「久しぶりで、ごめんなさい。低めに投げられて、ゴロアウトが増えた」
○金本監督(神) 「僕の中では(福留)孝介の一発がチームにとって大きかった。久々に、すかっとするホームラン」