戦時中、日本統治下の朝鮮半島から動員された「徴用工」の問題に取り組む韓国・済州島の市民団体が20日、記者会見を開き、10月中旬をめどに済州市にある日本総領事館前に、徴用工を象徴する像を建てる計画を発表した。日本政府は「外交関係に関するウィーン条約の規定に照らして問題」として、韓国政府に適切な対応をとるよう外交ルートで申し入れた。
像の設置を計画しているのは労働組合の全国民主労働組合総連盟(民主労総)を中心につくる市民団体で、「日本が過ちを認めない現実を変えるため」と設置目的を説明している。
別の市民団体も、8月15日にソウルの日本大使館前と釜山の日本総領事館前で徴用工を象徴する像を設置する計画を進めており、日本政府は同様に韓国側に対応を申し入れている。
戦時中、日本の炭鉱などに動員された朝鮮半島出身の徴用工について、日韓両政府はともに未払い賃金や被害補償などの請求権問題は1965年の請求権協定で解決済みとの立場を取り、韓国政府は独自に支援金を支払う措置を取っている。
一方、慰安婦問題に取り組む韓国の市民団体「平和の少女像ネットワーク」は20日、慰安婦を象徴する少女の胸像を刻んだ記念コインを発行すると発表した。コインの発行は、南太平洋の小国ニウエに依頼し、韓国政府の関与はないという。(ソウル=武田肇)