4人の犠牲者が出た道目木地区では公民館前に花が供えられ、付近の住民らが手を合わせた=5日午前8時7分、福岡県朝倉市杷木志波、長沢幹城撮影
福岡、大分両県で36人の犠牲者を出した九州北部豪雨から5日で1カ月を迎えた。29人が亡くなった福岡県朝倉市では住民らが復旧作業の手を止め、犠牲者を悼んだ。強い勢力の台風5号が九州に近づいており、被災地は二次災害への備えにも追われている。
特集:九州北部豪雨
朝倉市役所の災害対策本部では午前10時、森田俊介市長や陸上自衛隊、警察、消防などの職員らが黙禱(もくとう)。森田市長は「必ず朝倉の地はよみがえる。住民が安心して生活できる地域につくり直す」と述べた。取材に対しては「台風が接近している。被災地域は非常に脆弱(ぜいじゃく)で、土砂と流木が相当残っている。二次災害防止のため、国や県と応急復旧工事をしている」と語った。
被災者も手を合わせた。4人が亡くなった朝倉市杷木(はき)志波(しわ)の道目木(どうめき)地区では、午前8時ごろに憩いの場だった公民館の前に10人が集まり、献花した。柿農家の足立孝子さん(74)は「亡くなった人たちはみんな仲間だった。残念です」とタオルで涙をぬぐった。
今回の豪雨では今も5人の行方がわかっておらず、朝倉市東部の杷木地区では5日も警察や消防団の約140人態勢で捜索が続けられた。厳しい暑さのなか、捜索隊のメンバーらも一時作業を止め、犠牲者を悼んだ。福岡県東峰村と大分県日田市でも正午ごろ、職員らが庁舎で黙禱した。