九州北部豪雨から1カ月を迎える福岡県朝倉市杷木松末の中村地区。山あいを流木とともに濁流が覆い、多くの家屋や田畑が流された=4日午前11時27分、日吉健吾撮影
福岡、大分両県を襲った九州北部豪雨の発生から5日で1カ月となる。豪雨による死者は36人になり、なお5人の行方がわかっていない。540人が今も避難所生活を余儀なくされている。被害額は両県あわせて1480億円を超える。道路の寸断などで調査が進んでおらず、今後さらに増える見込みだ。二次災害に備えた対策工事も進む。
記録的な大雨で山の斜面が多数崩れ、大量の土砂や流木が集落などに流入。福岡県朝倉市、東峰村、大分県日田市で大きな被害が出た。厚く積もった土砂で行方不明者の捜索は難航し、被災地から50キロ以上離れた有明海で5人の遺体が見つかった。九州大の三谷泰浩教授(岩盤工学)の推定によると、被害が集中した朝倉市の赤谷川流域の土砂流出量は少なくとも約120万立方メートル。東京ドーム1杯分に相当する。
両県や国土交通省によると、がけ崩れなどの土砂災害は計278カ所、道路被害は計1199カ所、流木の発生量は推定約21万立方メートル(約17万トン)に達した。
4日現在、住宅の全半壊は両県で計775棟。避難所で計268世帯540人が生活するほか、公営・公的住宅に計98世帯240人が入居。アパートなどを借り上げる「みなし仮設」に計173世帯501人が入居または入居予定だ。朝倉市と東峰村では計99戸の応急仮設住宅の計画が進んでおり、一部では19日以降の入居が予定されている。