(5日、セ大阪3―1札幌)
大器が覚醒しつつある。セ大阪のFW杉本が2ゴール。5試合連続得点で今季13ゴールとし、得点ランク首位に並んだ。
試合開始わずか27秒で満員の観客を沸かせた。ほぼ正面のペナルティーエリア外に球がこぼれてきた。歩数を合わせて右足を振り抜く。強烈なシュートがゴール右上に突き刺さった。
前半28分のこの日2得点目は、身長187センチの高さを生かした。左サイドからのセンタリング。中央で、待っていた味方よりも先に高い打点で頭で合わせた。
覚醒の源は、2015年に所属した川崎時代にある。中学からセ大阪の育成組織で育ったが、地元を離れて挑戦する道を選んだ。当時、川崎にいたお手本が史上初の3年連続得点王を獲得した大久保嘉人。「練習から仲間に要求する姿勢が違った」と杉本。パスがずれたり、意図と違ったりすれば、ここだと大声でアピールする。日頃の積み重ねが得点を多く決める秘訣(ひけつ)だと感じた。
昨季、1年でセ大阪に復帰すると、学んだ姿勢を実行した。J2ではあるが、14得点で自身のシーズン最多を記録。3季ぶりのJ1復帰に貢献した。
その14得点をJ1で上回るという目標は目の前にある。「ゴールを取ることで自分自身が落ち着けている。継続していくのが大事」。190センチ近い長身ながら足元の器用さもある貴重な24歳。今月末にワールドカップアジア最終予選を控える日本代表に推薦したい選手の一人だ。(増田啓佑)