小野寺五典防衛相は23日午前、日本海で北朝鮮の弾道ミサイルの警戒監視にあたっている海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」を視察した。防衛省は小野寺氏の午前中の日程を「都内で政務」と公表しており、「隠密視察」となった。
政府関係者によると、小野寺氏は23日午前8時に防衛省から陸上自衛隊のヘリコプターで出発。埼玉県の航空自衛隊入間基地でU4多用途支援機に乗り換えるなどして、鳥取県沖の日本海で警戒監視を続けるちょうかいへ着艦した。艦内の戦闘指揮所(CIC)を視察し、乗員を激励した。
防衛省が22日夜に公表していた小野寺氏の日程によると、23日午前10時から午後1時半ごろにかけて「都内で政務」とされ、その後、省内で説明などを受ける予定となっていた。防衛相の日程は防衛省に常駐する記者に公表されており、変更があった場合にはその都度通告されるが、今回の視察については、視察が終わった後の23日午後2時過ぎに公表された。
統合幕僚監部の担当者は「23日に視察することを準備してきたが、部隊の任務に支障を来さないよう防衛相の視察の予定を事前に明らかにすることを控えた」と説明した。防衛省報道室の担当者は「報道室も、視察について事前に伝えられていなかった。防衛相の日程が変更されていたなら、常駐記者にも変更されたことを伝えるべきだった」と話した。
視察を終えて、23日午後に防衛省に戻った小野寺氏は「洋上の最前線における過酷な勤務環境の中、24時間、勤務している隊員の姿を確認できた。隊員はかなり長期間、警戒監視にあたっているので、ねぎらいも含めて声をかけた」と話した。米海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点としている米イージス艦2隻が衝突事故で使えない状態となっていることについては「米側の(残りの)イージス艦、日本に(弾道ミサイル防衛対応の)4隻のイージス艦があるので、その連携でしっかり穴がないよう対応していきたい」と述べた。(土居貴輝)