発砲事件があった現場付近=12日午前11時2分、神戸市長田区
12日午前10時5分ごろ、神戸市長田区五番町3丁目の路上で、「男性が倒れている。撃たれたようだ」と110番通報があった。兵庫県警によると、40歳ぐらいの男性が顔を撃たれ、心肺停止の状態で病院へ運ばれたが、まもなく死亡が確認された。発砲した男は走って逃げたといい、県警は殺人容疑で男の行方を追っている。
路上で発砲、男性が顔を撃たれ死亡
捜査関係者によると、撃たれたのは指定暴力団神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)を離脱した直系組長らが4月に結成を表明した任俠(にんきょう)山口組の関係者とみられる。現場近くに任俠山口組の織田絆誠(よしのり)代表の自宅がある。県警は両組織の対立が背景にあるとみて調べている。
現場に居合わせた男性は撃たれた瞬間を目撃したという。男性によると、まず白い車と黒い車が細い路地で衝突した。それぞれの車から一人ずつ降りてきてもみ合いになり、黒い服の男が発砲。もう一人の男性が「撃ってみんかい」と言ったところ、男が再び発砲して男性が倒れたという。
「パーン、パーン」
現場近くに住む別の男性は乾いた音を聞いて部屋を出た。集合住宅の廊下から見ると、一人が拳銃を両手で構え、もう一人が倒れており、拳銃を持った男が西の方に逃げたという。「かなり血がひろがっていて、近くにある医院の人が処置しようとしていた」
近くに住む男性(87)は、買い物から自宅に帰ってきた時に、たくさんのパトカーや救急車が来ているのに気づいた。男性は「近くに暴力団事務所があるようで、いつも警察が張り付いていた。かえって安心だと思っていたので、今日みたいなことが起きると怖い」と話した。
近くにある県立兵庫高校では、ニュースなどで発砲事件を知り、校内で緊急の職員会議を開いた。門扉を閉め、生徒に校外に出ないよう全校放送などで呼びかけた。教員数人で学校の周囲を見回ったが、不審なところはなかったという。教頭は「突然のことで驚いている」と話した。
近くの神戸市立神港高校(神戸市兵庫区)は、午前10時半ごろに神戸市教委から連絡を受けた。二つの門を施錠して、外部から侵入ができないようにした。