パックをスティックで奪ってゴールを目指す水中ホッケー(荻原佑介教諭提供)
神奈川県内唯一の水産・海洋系高校である県立海洋科学高校(横須賀市長坂)の水泳部内に「水中ホッケー」のチームが発足した。日本水中スポーツ連盟(東京)によると、高校にチームができるのは全国で初めて。部員らは「まずは試合で1勝を」と意気込む。
水中ホッケーはシュノーケルやフィン(足ひれ)を付けて水中に潜り、小型のスティックを使い、プールの底で重さ約1・3キロのパックを運びあってゴールするゲーム。国際大会は1チーム6人だが、国内大会は1チーム4人で対戦するという。
指導にあたる同校の荻原佑介教諭(26)は埼玉県の水中ホッケーチームのメンバーとして日本選手権で3連覇を果たし、アジア大会に出場した経歴を持つ。
水泳部は男子8人、女子3人の部員11人。荻原教諭が顧問を務め、練習の合間に水中ホッケーを体験させたところ反応が良く、部員から「チームをつくろう」との声が上がり、今年7月にチームが発足した。25メートルを無呼吸で泳ぐ潜水練習などをこなし、部員の根橋里佳さん(1年)は「水の中は思ったより激しい動き。息継ぎや体が慣れるまで大変でしたが、今はパックを追うのに夢中」と話す。
部員らはいま、全国大会への出場に向けて練習に励んでいる。水泳部主将の関戸柚安(ゆあん)さん(2年)は「水中ではアイコンタクトなどで連携を取り合い、仲間とのコミュニケーションが大事なスポーツ。まずは1勝を目指したい」と語る。
荻原教諭によると、国内の競技人口は200~300人と認知度はまだ低いが、元々は英国発祥で「世界選手権も開かれるなど世界では広まっている」という。「陸上とは異なり、水の中を360度縦横無尽に動き回るので『三次元スポーツ』とも呼ばれています」と競技のだいご味を語る。
部員らが使うスティックは荻原教諭が木材を削って手作りした。荻原教諭は「高校の部活動として日本に広めたい。希望があれば県内外問わず全力で支援します」と話している。(前田基行)