延長十七回、決勝本塁打を浴びてひざをつくPL学園の上重
来年で第100回大会を迎える全国高校野球選手権大会。主催する朝日新聞社が「投票! 甲子園ベストゲーム47」と題し、各都道府県ごとに最も印象に残った試合を朝日新聞デジタルで募ったところ、50万を超える投票がありました。
斎藤佑「1位、うれしい限り」 甲子園歴代ベストゲーム
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決勝での引き分け再試合に、奇跡のバックホーム、そして壮絶な打撃戦――。まずは47都道府県の1位となった試合を、紹介します。
投票期間:2017年6月7日~8月19日
投票総数:53万4426票
投票方法:都道府県ごとに10試合をエントリーし、「これこそベストゲーム」と思う試合を選んでもらいました。都道府県ごとに1人1票としました。投票は特設ページ上で受け付けました。
同一ユーザーによる大量投票は無効としています。
■あふれる思い出、1票ごとに
来夏で第100回大会を迎える夏の甲子園大会は、豊中、鳴尾の時代から昨夏まで通算3298試合が開催されてきた。そのすべてが記憶に残り、選手や関係者、ファンの思い出になっている。
それを承知の上で、各都道府県のベストゲームを10試合ずつピックアップし、皆さんに投票していただいた。当然のことながら、470試合すべてに票が入った。そして、それぞれに思い出をつづって下さった。
「感動をありがとう」「ぼくの進路に影響を与えた試合です」「野球の素晴らしさを教えてくれた」
感謝の思いは、選ばれた試合の主役たちにも共通する。
「1位だなんて、うれしい限りです。11年前のことをそんなに覚えていただいているんですね」
東京のベストゲームに選ばれた早稲田実のエース、斎藤佑樹さん(現プロ野球日本ハム)ははにかんだ。
「あの試合で、人生が変わった実感はあります。あの甲子園がなかったら、その後、どういう形で野球をやっていたかわかりません。僕にとって、人生をよくしてくれた、いい意味で変えてくれた試合です」
新潟1位は日本文理の「終わらない夏」。今夏の甲子園で勇退した大井道夫監督は「皆さんがいつまでも覚えていてくれるのはありがたい。新潟県民の応援が、選手たちを後押ししてくれた」と感謝する。「つなぐ野球の意識は以前からあったが、あの試合をきっかけに意識が形になった」
神奈川は延長十七回の熱闘が選ばれた。横浜の渡辺元智・前監督は「高校野球は国民的行事。選手のものだが、見て下さる皆さんのものでもある。その高校野球ファンから、いい試合だったと評価してもらえるのは、ある意味で最高の喜びです」と語った。
監督や球児の感謝、そして高校野球ファンの感謝。1世紀にわたる多くの感動に感謝の気持ちを込めて、これから47の物語をつづっていきたい。(編集委員・安藤嘉浩)
■得票率の高かった試合
(1)新潟 日本文理9―10中京大中京(2009年決勝) 80.9%
(2)熊本 熊本工3―6松山商(1996年決勝) 76.5%
(3)佐賀 佐賀北5―4広陵(2007年決勝) 72.8%
(4)愛媛 松山商6―3熊本工(1996年決勝) 69.7%
(5)広島 広陵4―5佐賀北(2007年決勝) 58.1%
(6)大分 明豊6―7花巻東(2009年準々決勝) 57.1%
(7)東京 早稲田実(西)1―1駒大苫小牧(2006年決勝) 53.6%
(8)岐阜 大垣日大12―10藤代(2014年1回戦) 53.1%
(9)沖縄 興南6―5報徳学園(2010年準決勝) 51.7%
(10)福井 敦賀気比9―15大阪桐蔭(2014年準決勝) 50.7%
■各都道府県の1位の試合
北海道 駒大苫小牧(南)1―1早稲田実(西東京) 第88回(2006年)決勝
田中、斎藤の投げ合いで両校譲らず。再試合は敗れ、3連覇逃す
青森 三沢2―4松山商(愛媛)第51回(1969年)決勝
県勢初の決勝。太田を擁し史上初の決勝再試合を戦った
岩手 花巻東7―6明豊(大分)第91回(2009年)準々決勝
菊池雄の負傷降板を全員野球で乗り切る。十回に川村が決勝打
秋田 金足農2―3PL学園(大阪) 第66回(1984年)準決勝
初出場で旋風。水沢が好投したが八回、逆転弾を浴びて力尽きる
山形 東海大山形7―29PL学園(大阪)第67回(1985年)2回戦
大会記録の29点、32安打を浴びた大敗試合。強化の転機にも
宮城 仙台育英0―2帝京(東東京) 第71回(1989年)決勝
県勢初の決勝。エース大越が熱投したが、延長十回、敗れた
福島 聖光学院1―0広陵(広島)第92回(2010年)2回戦
歳内が2年生で甲子園デビュー。V候補の広陵との投手戦を制した
茨城 取手二8―4PL学園(大阪) 第66回(1984年)決勝
延長十回、中島がPL桑田から決勝3ランを放った。県勢初優勝
栃木 作新学院7―1北海(南北海道) 第98回(2016年)決勝
四回に5点を奪って逆転。エース今井が好投し、54年ぶりの頂点
群馬 前橋育英3―2常総学院(茨城)第95回(2013年)準々決勝
九回2死から2点を追いつき、延長十回サヨナラ。そのまま頂点へ
埼玉 浦和学院10―11仙台育英(宮城) 第95回(2013年)1回戦
エース小島が乱調。九回途中に降板後、救援がサヨナラ打を浴びる
千葉 千葉経大付3―1東北(宮城) 第86回(2004年)3回戦
九回に追いつき、延長でダルビッシュを下す。左腕松本も好投した
東京 早稲田実(西)1―1駒大苫小牧(南北海道) 第88回(2006年)決勝
互いに八回に1点ずつ。斎藤と田中が力投。再試合は早実に軍配
神奈川 横浜(東)9―7PL学園(南大阪) 第80回(1998年)準々決勝
延長十七回の名勝負。松坂の失点をカバーし、好敵手を振り切る
新潟 日本文理9―10中京大中京(愛知) 第91回(2009年)決勝
県勢初の決勝進出。九回、見事な反撃で伝統校を追い詰めた
長野 松商学園4―3四日市工(三重) 第73回(1991年)3回戦
延長十六回、サヨナラ勝ち。エース上田への死球が決勝点
山梨 東海大甲府9―8聖光学院(福島) 第86回(2004年)3回戦
6点差の七回に4得点で追い上げ、九回に逆転サヨナラ3ラン
静岡 常葉菊川13―10智弁和歌山(和歌山) 第90回(2008年)
六回に10得点のビッグイニング。大会を通じて強打を印象づけた
愛知 東邦10―9八戸学院光星(青森)第98回(2016年)2回戦
最大7点差を逆転。4点差の九回、6安打を集めサヨナラ勝ち
岐阜 大垣日大12―10藤代(茨城)第96回(2014年)1回戦
一回に8点を失ったが、大逆転。八回、野崎が決勝2ランを放った
三重 三重3―4大阪桐蔭(大阪) 第96回(2014年)決勝
県勢59年ぶりの決勝。七回2死満塁から逆転され、惜しくも準V
富山 新湊9―5小松(石川) 第81回(1999年)1回戦
ミラクル新湊。九回に5点差を追いつき、十一回に4点勝ち越す
石川 星稜2―3明徳義塾(高知) 第74回(1992年)2回戦
4番松井が5打席連続敬遠。大会屈指の強打者が姿を消した
福井 敦賀気比9―15大阪桐蔭(大阪) 第96回(2014年)準決勝
魅力あふれる打撃戦。両チームで計27安打5本塁打が飛びかった
滋賀 八幡商5―3帝京(東東京) 第93回(2011年)2回戦
3点を追う九回、遠藤の右越え逆転満塁本塁打などで一挙5点
京都 平安0―1東北(宮城) 第85回(2003年)3回戦
服部がダルビッシュを上回る17三振を奪ったが、サヨナラ負け
大阪 PL学園4―3宇部商(山口) 第67回(1985年)決勝
2度ビハインドを清原の一発で追いつく。サヨナラでKK有終の美
兵庫 報徳学園5―4早稲田実(東東京) 第63回(1981年)3回戦
3点を追う九回に同点。十回、荒木を崩し、金村がサヨナラの生還
奈良 智弁学園3―7智弁和歌山(和歌山) 第84回(2002年)3回戦
初の「智弁対決」が実現。鋭い振りの智弁和歌山が勝った
和歌山 箕島4―3星稜(石川) 第61回(1979年)3回戦
延長十八回の名勝負。延長に入り2度、2死から起死回生の同点弾
岡山 岡山理大付5―4智弁和歌山(和歌山)第81回(1999年)準決勝
1点を追う九回2死満塁、馬場がサヨナラ打。準Vは県勢最高成績
広島 広陵4―5佐賀北(佐賀)第89回(2007年)決勝
3度目の決勝でも頂点に立てず。八回、野村が満塁弾を浴びた
鳥取 境0―1法政一(西東京) 第66回(1984年)1回戦
安部が快投。十回2死、許した初安打が本塁打となりサヨナラ負け
島根 開星5―6仙台育英(宮城) 第92回(2010年)1回戦
九回2死までリード。中堅手の落球をきっかけに、逆転で敗れる
山口 宇部商2―3豊田大谷(東愛知) 第80回(1998年)2回戦
延長十五回無死満塁、藤田がサヨナラのボーク。211球目だった
香川 観音寺中央3―4日大藤沢(神奈川) 第77回(1995年)2回戦
初出場初優勝の選抜に続く春夏連覇ならず。十一回サヨナラ負け
徳島 池田14―2早稲田実(東東京)第64回(1982年)準々決勝
水野、畠山らの「やまびこ打線」が圧倒。この後、県勢初の全国V
愛媛 松山商6―3熊本工(熊本) 第78回(1996年)決勝
十回1死満塁、右翼・矢野の好返球でピンチを脱し、5度目の頂点
高知 明徳義塾6―7横浜(東神奈川) 第80回(1998年)準決勝
八回表で6点リードから逆転サヨナラ負け。怪物松坂に屈した
福岡 西日本短大付1―0拓大紅陵(千葉)第74回(1992年)決勝
県勢27年ぶりの優勝。森尾が完封、スクイズの1点が決勝点に
佐賀 佐賀北5―4広陵(広島) 第89回(2007年)決勝
4点を追う八回、押し出し四球の後に副島が満塁本塁打を放った
長崎 長崎日大5―8花巻東(岩手)第91回(2009年)1回戦
長崎日大の大瀬良と花巻東の菊池雄との対戦が観客をわかせた
熊本 熊本工3―6松山商(愛媛) 第78回(1996年)決勝
九回2死から同点本塁打。十回、サヨナラ機を逸して競り負けた
大分 明豊6―7花巻東(岩手) 第91回(2009年)準々決勝
選抜の再戦。今宮が奮闘するが、延長十回に決勝点を許す
宮崎 延岡学園3―4前橋育英(群馬) 第95回(2013年)決勝
県勢初の決勝の舞台。3点先行し高橋光を攻めたが、競り負けた
鹿児島 樟南4―8佐賀商(佐賀)第76回(1994年)決勝
福岡―田村は大会屈指のバッテリー。同点の九回、満塁被弾で惜敗
沖縄 興南6―5報徳学園(兵庫) 第92回(2010年)準決勝
5点差をはねのけた。県勢初の頂点を春夏連覇で飾る直前の大一番