東浩紀さん
新しい政党が次々に生まれた今回の衆院選。だが、有権者の中には、この時期に選挙が行われることへの疑問や、選択肢がないといった不満もくすぶる。自らの意思をどう表現するのか。新しい形を模索する動きもある。
特集:2017衆院選
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「こんな選挙は意味がない!『積極的棄権』の声を聞いてほしい!」
インターネットの署名サイトで9月末、こんな呼びかけが始まった。今回の衆院選を「大義がなく、解散権の乱用」「民意を反映できる選択肢がない」と批判。最終的に投票に行くか、棄権するかは個々の判断だが、こうした声を署名によって可視化しようという運動だ。署名は衆院選後に国会議員に届ける。
呼びかけ人で、出版社「ゲンロン」を経営する思想家の東浩紀さん(46)は「メディアも選挙という『お祭り』に巻き込まれ、政局報道で盛り上がり、ポピュリズムを生むだけ。そんなに無理して投票すべきなのか」と語る。自身が投票に行くかは「当日まで考える」という。
東さんは「資本家と労働者といったわかりやすい階層があった時代は、選挙でそれぞれの主張を戦わせることが社会の融合につながった。今は各自が求めるものは複雑なのに、選挙ではワンイシュー(一つの問題)で『友か敵か』の選択を迫られ、市民が分断されている」とも指摘する。
署名活動には「民主主義の否定だ」といった批判も多いが、約5千人が賛同した。署名した北海道羽幌町の旅館業、坂本明さん(37)は「政治家の思惑で始まった選挙に民主主義が軽んじられているように感じ、思いを届けたかった」。投票には行くという。
既成政党ではなく、新しい政党…