

知的障害者が選挙で投票しやすいように、当事者の親たちがノウハウを紹介するDVDを作った。投票所での流れや補助者に書いてもらう方法などを解説する内容。自治体も活用し、「投票が難しい」とあきらめないようサポートする。
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■知的障害者の親ら製作 自治体も活用
DVD「投票に行こう!」は「狛江市手をつなぐ親の会」が手がけ、東京都狛江市選挙管理委員会の監修のもと昨年末に完成した。14分ほどの内容で、受け付けから投票までの流れに沿って障害者本人や狛江市職員らが実演。音声やルビ付きの字幕で解説し、場面ごとにポイントをわかりやすく示した。
例えば投票記載台では、事前に選んだ名前を記したメモを見ることができ、候補者名などを指でさすことで代理投票もできる。知的障害者は字の読み書きが難しい人もいるが、投票事務を担う補助者に意思を伝えることなどで「1票」の権利の行使を促す。
同親の会の森井道子会長(60)は「中には先の見通しを立てるのが苦手な人もいて、様々な手順を踏まなければならない投票所では不安になりがち。動画を見て事前に投票のイメージを持てれば不安は軽減される」と話す。
DVDを4月から一般販売すると、全国の親の会や選管、特別支援学校などから問い合わせが相次いだ。
総務省によると、知的障害者の投票を支援するマニュアルは作成していない。DVDについて、担当者は「障害者の目線で作られている点がわかりやすく実践的」としており、5月には都道府県選管にDVDを紹介したという。
大分県選管は選管委員向けにDVDを上映し、県内の市町村選管にもメールで案内した。今回の衆院選を前に市町村職員を対象にした説明会を開いた今月3日には、狛江市選管が作った障害者が配慮してほしいことを書く「支援カード」を周知。担当者は「本人確認が難しい場合もある。職員がどう支援すればいいかわかりやすく参考になった」と評価する。
森井会長によると、DVDを見て「自分も行っていいんだ」と初めて投票した人や、代理投票を知り、1人で7月の都議選の投票に行った女性もおり、「1票を投じて社会参加を」と呼びかけている。DVDは税込み1404円(送料別)。問い合わせは富士通エフ・オー・エム(03・5401・8462)へ。(森本美紀)