名古屋城木造新天守にエレベーター設置を求め、名古屋市役所前をデモ行進する障害者ら=2018年6月19日午後、名古屋市中区、戸村登撮影
名古屋市が2022年完成予定をめざす名古屋城木造新天守。エレベーターを設けないという同市の決定に、障害者らが反対の声を上げている。街のシンボルはどうあるべきか、「名古屋だけの問題ではない」と訴えている。
19日、愛知県内外の約600人(主催団体発表)が市役所の周りで手をつなぎ、抗議集会を開いた。「自治体による差別や人権侵害を認めない」と訴えた。
集会は市中心部で始まり、参加者は市役所まで行進。庁舎の周囲に並び、「エレベーター設置を実現するまで闘うぞ」と声を上げた。(関謙次、北上田剛)
午前11時25分 共産党愛知県議団を車いすの上田孝さん(67)が訪れ、「エレベーターが最善のバリアフリーだ」と申し入れた。障害者団体はこの日、県議会や市議会の各会派を回り、協力を要請した。
午後0時10分 名古屋・栄の久屋大通公園に障害者団体が集まり、抗議集会が始まった。参加者は「史実よりも人権」「河村市長 ドローンに乗ってみて」などのプラカードを掲げた。大阪市から来た永野賢史さん(44)は「これは名古屋だけの問題じゃない」。
壇上でマイクを握った沖縄県宜野湾市の山口彩夏さん(29)は「河村たかし市長は私たち障害者を荷物のように見ているから、ドローンのような発想が出るのではないか」と憤った。
午後0時58分 市役所に向かってデモ隊が出発。「新技術でごまかすな」などと訴えながら歩いた。近くで見守った名古屋市名東区の無職の男性(67)は、「障害者の言い分は分かるが、忠実な復元を望む人も多い。難しい問題だ」。
午後4時3分 参加者が市役所の周りで手をつないだ。愛知障害フォーラム事務局長の辻直哉さん(46)は「市長は全国から集まった仲間の声に耳を傾けてほしい。今日を活動のスタートにしたい」。その後、辻さんら代表者が市役所前でハンガーストライキに入った。
河村市長 抗議「誤解では?」
河村たかし市長は、エレベーターを設置せず、歩行支援ロボットなど代わりとなる新技術を開発する方針を出している。19日も、「もうロボット(の完成)は目の前。そういう技術の方が、はるかにバリアフリーになる」と記者団に持論を述べ、障害者の抗議にも「何か誤解があるのでは」と理解を示さなかった。
資材費94億円 市議会に議案提出
名古屋市議会の6月定例会が19日開会し、河村たかし市長は、名古屋城木造新天守に使う木材を調達する請負契約を結ぶ議案を提出した。契約額は94億5540万円で、木造化工事を施工する竹中工務店と締結する。総額8200万円の一般会計補正予算案も提出した。