関西電力が2019年に運転開始から40年を迎える福井県の大飯原発1、2号機について、廃炉を検討していることがわかった。これまで最長20年の運転延長を原子力規制委員会に申請する方針だったが、安全対策費用がかさむことなどから方針転換も視野に入れる。
大飯1、2号機は出力117・5万キロワット。1979年に運転を始め、1号機は2010年、2号機は11年に定期検査に入った。11年の東日本大震災の後は運転を止めたままだった。これら2基の廃炉が決まれば、関電の原発で廃炉となるのは美浜1、2号機と合わせて計4基になる。大飯1、2号機の廃炉が決まれば、出力100万キロワット超の「大型原発」では、事故を起こした東京電力福島第一原発を除いて初めてとなる。
大震災の前は、関電は原発で発電量の約4割をつくっていた。しかし、震災後、これらを動かすためには巨額の安全対策費用が必要になった。関電はすでに7基を動かすために8300億円超を投じる計画で、大飯1、2号機を動かせば、額はさらにふくらむ。関電は、2基を動かして火力発電の燃料費を減らしても、安全対策費に見合うほどのメリットはないとの判断に傾きつつある。
企業や家庭で節電が進んだことや家庭向け電気販売の自由化で、関電は電気販売で苦戦している。16年度の販売電力量はピーク時の10年度から2割減。17年度はさらに約6%減を見込む。大飯の2基を廃炉にしても供給には余力がある。
関電は「現在、(運転延長に向けた)原子炉設置変更許可申請の準備を行っており、技術面、安全面での検討を行っているところです」とのコメントを出した。