講師(右)の英語を真剣に聞き取ろうとするU18女子日本代表
海外チームのスカウトに英語で声をかけられたら、さあどう応じる?――。日本の女子アイスホッケー界が、世界を見据える選手らの英語力向上に力を入れている。合宿に講義を組み込み、インターネットの通信教育を提供している。
8月に北海道苫小牧市であったU18(18歳以下)日本代表合宿。氷上練習を終えた選手が宿舎の会議室に集まった。「あなたの強みは」「目標は何ですか」。スカウト役の英語講師に英語で質問をたたみかけられると、選手は戸惑ったように苦笑いを浮かべた。
だが、「チャンスを逃さないで。アピールして」と講師に発破をかけられると、表情が引き締まった。仲間同士で「速いスケーティングってどう言うの」「バトルの強さって言いたいんだけど」などと相談し合い、英語で答えを絞り出した。
女子アイスホッケーは米国やカナダのチームでプレーすることが一流選手の条件になりつつある。今年2月の五輪最終予選のメンバーのうち約半数が、海外でのプレー歴があった。
この流れを受け、日本連盟は2016年に語学教育の大手「イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン」(東京都渋谷区)とサプライヤー契約を締結。選手が無料で通信授業を受けている。オンラインで発音のチェックをしてもらったり、世界の受講者と会話をしたりしている。
「英会話を習っているけど、ホッケーの用語は独特。カナダに行った時、練習メニューが分からなくて困った」と話すのはDFの山下栞(しおり、15)。「スマイルジャパン(日本代表)でメダルを取るのが夢。ホッケーの技術と一緒に、英語力も上げたい」と話した。(渡辺芳枝)