名古屋市役所での撮影にのぞむ名古屋市立大学の学生ら=名古屋市中区
もしも、名古屋がなくなったら――。「行きたくない街」ナンバーワンに選ばれたこともある名古屋。その魅力を発信しようと、名古屋市立大学の学生らが映画づくりに励んでいる。当たり前にあった日常がなくなった時、地元の人が名古屋の良さを再認識するという物語だ。
映画を撮っているのは、同大芸術工学部映像研究室を中心とした学生たち。昨年、名古屋市が公表した調査で、国内主要8都市で最も魅力のない都市に名古屋が選ばれたことから今回の企画が始まった。
シナリオは学生のオリジナルだ。主人公の奈緒は名古屋に住む名古屋嫌いの大学4年生。ある日、政府が日本の都道府県を廃止し、東京と大阪の二つに分けると発表する。しかも名古屋は東京と大阪の境目として分断されることに。奈緒は東京側、隣に住む幼なじみの亮介は大阪側。2人は慣れ親しんだ言葉や食文化を強制的に変えさせられ、奈緒は初めて名古屋の良さに気づく、という物語だ。
奈緒役はモデル・タレント事務所「ジオット」所属の詩織さん(21)、亮介役は名古屋外国語大学2年で演劇活動をしている藤瀬響平さん(20)が務める。16日にクランクインし、15人ほどの学生がカメラや照明、音声などの役割に分かれ、名古屋市役所での撮影にのぞんだ。
監督を務める名市大4年の天野愛子さん(21)は「地元の人にも市外の人にも名古屋の魅力を伝えたい」といい、「トンカツにみそをかけるシーンを盛り込むなど、作中に『名古屋あるある』をいくつもちりばめました。いくつ分かるか探しながらみるのも楽しみ方のひとつです」と笑う。
映画のタイトルは「無古屋(ナゴヤ)」。来年3月18日に伏見ミリオン座(名古屋市中区)で公開される予定だ。(浦島千佳)