欧州中央銀行(ECB)は26日の理事会で、国債などを買って市場にお金を流す量的緩和政策の規模を縮小することを決めた。国債などの購入規模を、来年1月から現在の月600億ユーロ(約8兆円)から月300億ユーロに減らす。「今年12月末まで」としてきた緩和期間は来年9月末まで9カ月間延長する。ユーロ圏の景気は回復基調でデフレ懸念は後退しており、ECBは徐々に緩和規模を縮小し、緩和終了の「出口」を模索する。
緩和規模の縮小は、今年4月に月800億ユーロから月600億ユーロに減らして以来となる。ユーロ圏の域内総生産(GDP)は今年4~6月期まで17四半期連続でプラス成長だ。ユーロ圏の消費者物価指数も上向いているが、ECBが目安とする「2%弱」は下回っている。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で「中期的な物価上昇に向け、十分な規模の金融緩和策は必要だ」と述べ、緩和縮小を時間をかけて進める方針だ。
過去最低の年0%の政策金利は、量的緩和の終了後も現在の水準をしばらく維持する。民間銀行が余ったお金をECBに預ける際にかけるマイナス金利も当面は続ける。
日米欧の中央銀行では、米連邦準備制度理事会(FRB)が2014年秋に量的緩和を終了し、15年末に利上げを再開。今年9月には保有資産の縮小を決めた。一方、日本銀行は大規模緩和を続けており、日本と米欧の差が鮮明になってきている。(フランクフルト=寺西和男)