三洋電機の創業者が迎賓館として使っていたジェームス邸(神戸市垂水区、ノバレーゼ提供)
歴史的な建物を改修したホテルなどの商業施設が増えている。特徴的な外観を生かし、観光名所としても人気を集める。集客力に期待し、結婚式場を全国で運営する会社もある。
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大阪城公園内に19日、複合商業施設「ミライザ大阪城」が開業した。2001年まで大阪市立博物館として使われていた旧日本陸軍の「旧第四師団司令部庁舎」を改修した。階段や天井のアーチなど、建物の特徴は1931年に建てられた当時のまま残した。
屋内にはお土産物屋やレストラン、宴会場などを設けた。屋上のテラスでは結婚式もできる。
大和ハウス工業などが出資する公園運営会社「大阪城パークマネジメント」によると、大阪城天守閣の2016年度の入場者数は過去最多の255万人になった。ただ、公園内に食事ができる店が少なく、観光を終えるとすぐに帰る客が多かったという。
結婚式の運営受託会社の担当者は、「ほかと違った結婚式を求める人たちが増えている」といい、歴史的建造物は「売り」になるとみている。
古い建物を生かした商業施設は、倉敷紡績(現クラボウ)の紡績工場を改修したホテル「倉敷アイビースクエア」(岡山県倉敷市)など、以前からある。政府は訪日客を呼び込む施策の一つと位置づける。文化庁は、文化財を使った観光拠点を20年までに200カ所設ける計画をつくった。改修費などへの補助制度も設けた。姫路城の改修などを支援した公益社団法人・日本観光振興協会の担当者は、「訪日客が増えていることがきっかけで、文化財を保存するだけでなく活用しようという機運が高まっている」と話す。
例えば、国の重要文化財で今年3月に老朽化のため閉鎖された奈良少年刑務所(奈良市)は、「監獄ホテル」として20年度に生まれ変わる予定だ。
こうした建物をあえて狙う事業…