まだ暗い夜明け前に運航する桜島フェリー
錦江湾をはさみ、鹿児島市の中心部と桜島とを約15分で結んでいる市営の桜島フェリー。車も運び、毎日24時間運航しているフェリーは全国でもここだけだ。地方の一都市で、どうしてそんなに働き者なのか。理由に迫ると、鹿児島の日常が見えてきた。
桜島フェリーは同市役所やかごしま水族館に近い市街地側と、桜島の西側のターミナル間を1日に70往復する。日中は10~15分おきに、深夜も1時間に1本が両側のターミナルを出発している。
平日の夜明け前の朝5時半、市街地側を出発した船内には、50人あまりの乗客がいた。朝食や仮眠を取る通勤客、釣り人、船の下層には魚や農作物を運ぶトラックも乗り込んでいる。午前6時に桜島側を出た便には高校生の姿もあった。日が高くなるに連れ、観光客も増えてきた。
市によると、年間の乗客数は1981年度に562万人を記録。国土交通省の集計によると、2014年度には、国内のフェリーで最も多い480万人が乗った。15、16年度には広島県のJR西日本宮島フェリーに抜かれたものの、昨年度は444万人を運んだ。
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誕生は1934年。桜島町郷土誌によると、当時の西桜島村が島外の中等学校に子どもを通わせるため、定期連絡船の運航を始めた。41年には全国に先駆けて車の輸送を開始。町営になった後の84年から24時間運航になった。
なぜ24時間運航を始めたのか。
当時、町秘書企画課で広報担当…