今年の「おおつちバラエティーショー」の一場面(実行委員会提供)
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町が、町で暮らしながら演劇に取り組む若者を募集している。「ともに笑い合おう」を合言葉に開かれる町民演芸大会「おおつちバラエティーショー」への出演が条件だ。かつて舞台の夢を追った町職員が発案し、町も移住策として後押しすることにした。
大槌町は津波で市街地が壊滅し、人口の約1割にあたる1285人が犠牲になった。震災から6年7カ月たつ今も、約1700人が仮設住宅で暮らし、町外へ移った人も多い。
バラエティーショーは、散り散りになった町民の再会の機会として、町職員や有志が昨年2月に始めた。今年2月には2回目、8月には避難者の多い盛岡市で出張公演を開催。そのたびに数百人の人が集まった。
ショーの中心は演劇で、町任期付き職員の横浜千尋さん(27)が脚本を手がけている。震災当時、京都の大学で脚本と演技を学んでいたが、津波で実家が全壊。町民劇団員だった父(当時50)と祖母(同79)が亡くなり、祖父(同82)は行方不明に。東京で俳優を目指したが、ひとり残された母を気遣って2014年春に大槌町へ戻り、15年から町に勤めている。
3回目となる劇は若者数人が主…