27日のワールドシリーズ第3戦の二回、ドジャースのダルビッシュ(手前)から本塁打を放ったアストロズのグリエル=AP
米テキサス州ヒューストンで27日にあった大リーグ・ワールドシリーズ第3戦の試合中、アストロズのユリエスキ・グリエル内野手(33)がドジャースのダルビッシュ有投手(31)から本塁打を放った後、アジア系の人を侮辱するようなしぐさをした問題で、大リーグ機構(MLB)のマンフレッド・コミッショナーは28日、グリエル選手に対し、来年のシーズン開幕から5試合の出場停止などの処分を科すと発表した。
グリエルが差別行為 ダルから本塁打後、Wシリーズで
問題の場面は、第3戦の二回。本塁打を放ったグリエル選手がベンチの中で談笑しながら両目を両手の人さし指で細めるしぐさをした。この様子がテレビで放映され、米メディアなどが一斉に報じた。
28日に会見した同コミッショナーは、「あのような態度に言い訳はできない」と発言。出場停止となる来季の5試合は無給とし、その分の給与を球団が慈善行為に寄付することを発表した。また、同選手に対し、シーズンオフに感受性訓練を受けることを求めた。
グリエル選手は「試合中に気分を害するしぐさをしてしまったことに弁解の余地はない。深く後悔している。特に尊敬するダルビッシュに謝りたいし、ドジャースやアストロズ、大リーグ、そしてファンのみんなに謝罪したい」と球団を通じてコメントした。
同コミッショナーは、ダルビッシュ投手がこの問題に対して模範的な対応をしたと評価。「特に注目すべきことは、彼はこうしたネガティブな出来事から、深く学ぶ機会にすべきだと言い表したこと」と話した。
ダルビッシュ投手は27日の試合後、「客観的に見るとアジアの人だけじゃなくて、いろんな人種の人に対して区別するのは良くないことだと思う。ああいうことをパブリックの場でしてしまっている以上は、MLBはちゃんとした処置をしないといけないと思うけれど、完全な人はいない。彼の中の一つのミスであって、これによってまた色んな人がこのことから学べると思う。人類として、また一つ学んで、また一つ前に行くステップになれば、ただのミスで終わらないのではないかと思う」と語っていた。(上山浩也)