公明党の山口那津男代表は12日放送のラジオ番組で、憲法改正について「改正ありきで(自民の)党是だから改正をなんとか結果を出したい、というアプローチをすると誤る可能性がある」と語り、安倍晋三首相主導で議論を急ぐ自民党の姿勢にクギを刺した。国会発議についても「数で決着をつけようという課題ではない。焦ってはいけない」と述べた。
番組は先月31日に収録された。山口氏は9条改正に否定的な考えを示したうえで、公明党も含めた「憲法改正を否定しないという勢力」の中でも、「何をどのように変えるかは相当な隔たりがある」と指摘。「(安倍首相が掲げる自衛隊明記案は)自民党自身が二つの意見を集約しきれていない。(首相は)衆院選で信を問うテーマに憲法改正はのせていない。やはり正面から語るには時期尚早だった」として、意見集約になお時間がかかるとの認識を示した。
国会発議については「(発議に必要な衆参各院の賛成)3分の2の背景には、それ以上の国民の支持があるくらいの状況が望ましい」と述べた。過半数の賛成で改正が決まる国民投票でも、3分の2を超える賛成を得られるような丁寧な議論を求めた形だ。
安倍首相が改憲のために公明党ではなく、野党との連携に軸足を移す可能性を問われると、「ないと思っているが、改憲を当面の政権運営、政局に利用するという本末転倒な価値判断は避けるべきだ」と強く牽制した。(磯部佳孝)