「奇跡の一本松」の幹をくりぬいて出た木くず=大阪府阪南市
東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」。その木くずを利用し、大阪府阪南市の繊維製造会社がストールとポンチョを作った。米ニューヨークで12日(日本時間13日)に開かれる震災支援への感謝を込めたコンサートで、出演する子どもたちが身にまとう。
手がけたのは、スギやヒノキの繊維から布を織る技術を持つ「和紙の布」の阿部正登社長(59)。今年5月、木の笛「コカリナ」演奏の第一人者で、NPO法人「日本コカリナ協会」(東京都)の黒坂黒太郎会長(68)と知り合った。
協会は2012年から、震災の津波で倒れた陸前高田市の松約7万本から1千本以上のコカリナを制作。被災地の子どもたちに贈ってきた。一本松の枝からもコカリナを作り、国内外で演奏を重ねている。
阿部さんは黒坂さんから「一本松の木くずから服を作れないか」と相談され、製作に取り掛かった。
一本松は津波に耐えたが、海水につかって枯死。保存処理などを施すため、幹の中がくりぬかれた。その際に出た木くずの一部約660キロを、一本松を所有していた日本ユースホステル協会(東京都)を通じ、無償で譲り受けた。
阿部さんと取引をしている山梨県の業者などが、木くずから繊維を取り出し、まず和紙を作製。細長く切り、よりをかけて糸にしたのを、阿部さんの会社で織り上げた。当初は松ヤニの影響などを心配したが、強い糸に仕上がったという。
ストールは長さ180センチ、…