日韓両政府が昨年11月に締結した、防衛情報を共有する基礎となる「軍事情報包括保護協定(GSOMIA〈ジーソミア〉)」で、韓国側が北朝鮮の核・ミサイル開発以外の情報交流を拒んでいる。複数の軍事関係筋が明らかにした。日韓の防衛協力に慎重な大統領府の意向を受けた方針とみられる。
軍事情報包括保護協定(GSOMIA〈ジーソミア〉)
同筋によれば、日韓の防衛当局は過去、北朝鮮が発射する弾道ミサイルの高度や速度などの情報を交換した。特に8月29日と9月15日に日本列島上空を通過して太平洋上に落下した弾道ミサイル「火星(ファソン)12」など、韓国から遠く離れた地点に落下した場合、韓国側のレーダーでは十分追跡できず、情報共有が成果を上げているという。
ただ、文在寅(ムンジェイン)大統領は3日のシンガポールメディアとのインタビューで、日米韓の防衛協力が軍事同盟に発展することは望ましくないとの考えを強調。北朝鮮を巡る安全保障に協力を限定する考えを示した。韓国国防省も、中国軍の動向や南シナ海を巡る安全保障などの情報を交換する考えは示していないという。
日本側も、韓国側に米軍の情報能力を超える力がないと判断。政治的な摩擦を避ける意図もあり、新たな情報交換の提案は行っていない。韓国軍と自衛隊との間で武器の部品や弾薬、燃料などを相互に融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)や、有事の際の韓国在住邦人の避難を巡る情報交換、日韓が別々に提供された米国情報の相互確認も進んでいない。
このため、朝鮮半島有事に至っ…